行政書士試験の受験に向けて、独学で臨むか専門学校や通信教育で学ぶかで悩みますよね。
私も、そのひとりでした。
「つぎ込んだ労力とコストに見合うのかどうか」
そこが重要ですから。
私の場合、1回目と2回目は独学で受験し、3回目は専門学校に通い、4回目はまた独学と遠回りながらもなんとか合格を果たせました。
それにしても、ずいぶん回り道したものです。
そこで結論から言ってしまえば、法学部などの出身者は法的思考力が備わっているから独学でも大丈夫だと思います。
だけど、私のように法的思考力が根付いてない者にとっては、やっぱり専門学校で基礎からしっかりと学んだ方がむしろ近道であると考えています。
そんな4年もの回り道をした私が「どうしたら早道だったか」について反省を込め体験記を書いてみました。
独立したらどうなるかはともかくとして、果敢にチャレンジしたなら人生観は変わるし、自信だってみなぎってきますますよ。
ぜひ参考にしてみてください。
行政書士試験を独学で挑もうとしたワケ
「誰でも受かる!」などのタイトルがついた書籍に踊らされて、とりあえず始めてみようといきなり学習から手をつけてしまったのが間違いのもと。
2004年3月のことでした。
当時は10月に試験がありましたので、7か月間しかも独学で受かるだなんて楽観的に考えていたのです。
「身の程知らず」って感じですね。
ちょうど会社の仕事も手詰まりで、辞めたいなと思っていた時期でした。
「いったい俺は何をしたいんだ!」
いわば、軽いうつ状態でした。
なんとか現状打破したいと思いつつも、何をどこから手をつけていいのかが、サッパリわからずの状態。
かといって「手ぶらで」サラリーマン生活から飛び出すわけにもいかず、客観的になにか証明できるものがないかと探しまわり、たどり着いたのが行政書士でした。
なにか志があってそうしたというのではなく「会社を辞めるための手段」として選んだわけです。
まったくもって単純ですよね。
行政書士試験を4回受験して学んだこと
2004年に39歳からチャレンジして、2007年に42歳での遅咲き合格。
「人生あきらめなければなんとかなるもんだな」と思えた瞬間でした。
それにしても、なんと遠回りだこと。
最初からきちんと戦略を練っておけば、こんな形にはならなかったと思います。
1回目の失敗から学んだこと
タイムスケジュールを度外視していたことが敗因でした。
まずは行政書士試験のタイムスケジュールをにらみながら、きちんと戦略を立ててから臨むべきでした。
なので、専門学校に入学するかどうかはともかくとして、少なくともガイダンスを受けておくべきだったと後悔しています。
2回目の失敗から学んだこと
法律は暗記科目であると勘違いしていたのが、失敗の要因でした。
1回目は、時間的な余裕がなかったのが敗因であると思い込み、試験後すぐに独学学習を再開。
とにかく問題集をかき集めてきて「それをひたすら解いていけばなんとかなる」などといった考えで臨んだものの、あえなく失敗。
結局、あれもこれもと参考書に目移りしてしまうんですよね、それがかえって遠回りになってしまうことなどつゆ知らずに。
試験当日は、開始の合図で問題を見た途端に頭が真っ白になり、途中からもうダメだとあきらめました。
「やっぱり独学では無理だ」
それが専門学校を検討する契機となりました。
3回目の失敗から学んだこと
1月から専門学校で学び始めましたが、惜しくも2点差で合格にはいたらず。
ただ、次回の4回目は合格できるとの確信を得ました。
なぜなら、法的思考力が身についたから。
名物講師の講義がとても楽しくわかりやすく、お堅い法律知識が身近なものになってきたことが、学習意欲につながりました。
それから、予備校のカリキュラムは合理的に組まれているので、学習ペースをつかむことが容易。
私の場合、毎週日曜日に予備校へ通いビデオ受講していましたが、かえってそれが正解。
途中眠くなってしまうことがあったので、巻き戻せるビデオ受講は、とっても重宝しました。
4回目の合格から学んだこと
2007年、4回目の受験でやっと合格できました。
すでに基礎がついていたので、4回目は独学でいくことにしました。
そのかわり、各社の模試をたくさん受けて自信を深めていきました。
やっぱり、3回目で法的思考力が身につけたのが大きかったのだと思います。
行政書士試験の合格率推移
ここ10年の平均は11.4%となっています。
【行政書士試験合格率(平成25年度~令和4年度)】
年度 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和4年度 | 60,479 | 47,850 | 5,802 | 12.13% |
令和3年度 | 61,869 | 47,870 | 5,353 | 11.18% |
令和2年度 | 54,847 | 41,681 | 4,470 | 10.72% |
令和元年度 | 52,386 | 39,821 | 4,571 | 11.48% |
平成30年度 | 50,926 | 39,105 | 4,968 | 12.70% |
平成29年度 | 52,214 | 40,449 | 6,360 | 15.72% |
平成28年度 | 53,456 | 41,053 | 4,084 | 9.95% |
平成27年度 | 56,965 | 44,366 | 5,820 | 13.12% |
平成26年度 | 62,172 | 48,869 | 4,043 | 8.27% |
平成25年度 | 70,896 | 55,436 | 5,597 | 10.10% |
合格者のかなりの割合が予備校受講者と考えられるので、独学者の合格者の割合は10%からもっと下かと思われます。
行政書士試験のタイムスケジュール
行政書士試験は、毎年11月の第2日曜日です。
学習計画は、秋口に検討するのが最適。
1年のスパンで戦略が立てやすくなるからです。
専門学校の選択も、このあたりから進めていきましょう。
私の場合は1月から受講を開始して、
- 1〜5月がインプット
- 6〜9月が答練
- 10月〜試験直前まで模試
といったスケジュールでした。
行政書士試験の中身と勉強方法
行政書士試験は3時間で60問を解くので、一つ一つの問題で立ち止まってしまうと時間が足りなくなってしまいます。
トータルで6割正解すれば合格なので、わからないところは飛ばしてしまうといった割り切りも必要になってきます。
試験科目 | 出題形式 | 出題数 | 満点 | 合格基準点 | |
法令等 | 択一式 | 5肢択一式 | 40問 | 160点 | ー |
多肢選択式 | 3問 | 24点 | ー | ||
記述式 | 3問 | 60点 | ー | ||
計 | 46問 | 244点 | 122点以上 | ||
一般知識等 | 択一式 | 5肢択一式 | 14問 | 56点 | 24点以上 |
合計 | 60問 | 300点 | 180点以上 |
次の要件の全てを満たしたら合格です。
- 法令等科目の得点が、122点以上
- 一般知識等科目の得点が、24点以上
- 試験全体の得点が、180点以上
点数の割合は、「行政法」や「民法」が大きなウエイトを占めているので、この2つを中心に学習を進めていくことになります。
一般知識は「足切り」回避のため半数の正解を目指すのが得策です。
合格のその先に見えてくるものとは
私の場合は、会社を辞めるために資格を取るといった、いわば不純な動機だったので、合格後スグに退職してしまいました。
裏を返せば、4年間不合格であったため、その間イヤな会社勤めも我慢しながらなんとか勤めきることができました。
退職してからは、いきなりツテもなく行政書士事務所を開業。
最初は苦労しましたが、なんとか14年間運営していくことができました。
途中から、行政書士の業務とは直接関係のない商売の世界に軸足を移していくことになりましたが、そこでも行政書士業務から得られた許認可等の実務が大いに役に立ちました。
また、それより何より行政書士として独立することで視野が広くなった点が、私にとっては大きなメリットでした。
そうした広い世界で「行政書士」という客観的な裏付けを携えながら、自信を持って社会を渡り歩いていけますし、実際にいくつもの信用を勝ち取ることもできているので、本当に資格を取得しておいて良かったと思っています。
まとめ
3回もの挫折、ようやく4回目で合格した経験を踏まえて「独学で行政書士試験に合格することが可能かどうか」について述べてきました。
結論としては、ある程度法律について理解度があるならOK。
私みたいに、法的思考力が備わっていない場合には、専門学校へ行って基礎から学んだ方がいいと思います。
また、試験は11月なので、それを見据えてのスケジューリングがとても重要。
将来的に独立するかどうかは別として、まずはチャレンジしてみましょう!
きっと自分に自信がついてきますよ。